2026年1月16日
令和7年度交流プラットフォーム現地見学会レポート(後半)
令和7(2025)年9月11日、「木質バイオマス温水ボイラーの冷房利用」をテーマとして、木質バイオマス熱利用交流プラットフォーム現地見学会を静岡県裾野市・御殿場市において実施しました。今回の現地見学会レポートは後半となります。前半についてはこちらをご覧ください。
【見学先】
・燃料チップ製造現場(裾野市深良)
燃料チップ製造現場での燃料供給事業の概要説明と燃料チップ製造実演
・熱電併給設備(裾野市深良)
熱電併給設備の概要と現場見学
・秩父宮記念公園(御殿場市東田中)
木質バイオマスボイラー熱利用による冷房利用施設
・株式会社リコー環境事業開発センター(御殿場市駒門)
木質バイオマスボイラー熱利用施設、リサイクルの取組
秩父宮記念公園
静岡県御殿場市にある秩父宮記念公園は、秩父宮雍仁(やすひと)親王・勢津子妃が過ごした元別邸を、勢津子妃の遺言により整備・公開した公園です。この公園には35kWの木質チップボイラーと温水焚吸収冷温水器が設置され、公園内の喫茶店の冷暖房に熱利用されています。設置当初は園芸ハウスの加温にも使用されていましたが、現在は使用されていません。

写真:木質バイオマスボイラー建屋前での説明の様子
熱利用ボイラー
上記の木質チップボイラーはHerz社製で、2019年に設置されたものです。設備は、燃料のサイロ投入のための垂直投入装置、燃料のボイラーまでの搬送装置、バイオマスボイラー本体、蓄熱タンク、そしてポンプや三方弁などの付帯設備になります。前回のレポートで報告したとおり、ここで使用している燃料は、この木質バイオマスボイラー用に山土場で3か月程度丸太を乾燥させてからチップ化したものです。

写真:秩父宮記念公園ボイラー室の様子
喫茶店「うぐいす亭」の冷暖房
公園内にある喫茶店「うぐいす亭」では、木質バイオマスボイラーの温水を冬は暖房、夏は冷房として利用しています。温水を冷房に利用できるのかと疑問に思われるかもしれませんが、温水焚吸収冷温水器(矢崎エナジーシステム社製)を使用することで可能となります。この冷房の仕組みについては、紙面の都合上割愛させていただきますが、本年度(2025年度)の勉強会のテーマに取り上げる予定ですので、ぜひ聴講してください。 昼食は交流もかねて「うぐいす亭」にていただき、多くの皆さんが活発に意見交換をしていました!(話がはずみ写真を撮り忘れました…)

写真:温水焚吸収冷温水機の説明の様子
株式会社リコー 環境事業開発センター
昼食後は御殿場市にある株式会社リコーの環境事業開発センターへ移動し、同センターの木質バイオマス利用施設を見学しました。リコー社では、木質バイオマスだけではなく幅広く環境への取組みが行われており、丁寧な説明をいただいた後、同センターが拠点となっているコピー機のリユース工場も見学させていただきました。

写真:リコー社における環境の取組みの説明の様子
環境事業開発センターの木質バイオマスボイラー
環境事業開発センターには、木質バイオマスボイラーが3台あります。このうち2台は国産のオヤマダエンジニアリング社製で、出力は200kWと500kWです(2016年設置)。もう1台はドイツのHDG社製の400kWの木質バイオマスボイラーが設置されています(2018年設置)。これらのボイラーで発生する熱は、同センターの暖房・給湯の一部に供給されています。冬期はほぼフル稼働し、施設全体の20%がこのボイラーからの熱供給で賄われています。夏期は熱需要が少ないため、ボイラーの出力や稼働台数を制御しながら運転しています。同センターには冷房用として吸収式冷凍機も設置されていますが、熱効率があまり良くないことや、年2回のメンテナンスの費用などの経済面を考慮し、現在では使用されていません。

写真:HDG社製バイオマスボイラー
また、ボイラー設置当初から設備やチップサイロの工夫や改良を重ねてきたとの説明がありました。例えば、配管は日本の基準より多くの断熱材を使い、欧州基準に近づけて熱ロスを少なくしています。煙突については設置当初より高くし、煙が効率的に排出される改善を行われています。これらの取組みは、リコー社の技術者たちが自らの技術力を活かして、工夫しながら進めたとのことでした。見学後は研修室において、参加者とリコー担当者の皆様で木質バイオマスボイラー導入・再生可能エネルギーの活用について意見交換をしました。

写真:断熱材が施された配管設備
謝辞
今回ご協力をいただいたNPO法人地域活力創造センター、御殿場総合サービス株式会社、裾野グリーンエナジー、秩父宮記念公園、リコー社環境事業開発センターの皆様には、あらためて感謝申し上げます。また、多くの皆様にご参加いただき、ありがとうございました。
