2025年12月10日
令和7年度交流プラットフォーム現地見学会レポート(前半)
令和7(2025)年9月11日、「木質バイオマス温水ボイラーの冷房利用」をテーマとして、木質バイオマス熱利用交流プラットフォーム現地見学会を静岡県裾野市・御殿場市において実施しました。当地は林業活動が比較的盛んな地域であったため、熱利用施設だけではなく、林内でチップ製造を行う現場やチップの乾燥を行う熱電併給設備なども合わせて見学しました。
本見学会は、今年度で4回目の開催となりますが、これまで参加いただいた方が今回も参加いただけるなど、木質バイオマス利用施設への関心の高さがうかがえました。
【見学先】
・燃料チップ製造現場(裾野市深良)
燃料チップ製造現場での燃料供給事業の概要説明と燃料チップ製造実演
・熱電併給設備(裾野市深良)
熱電併給設備の概要と現場見学
・秩父宮記念公園(御殿場市東田中)
木質バイオマスボイラー熱利用による冷房利用施設
・株式会社リコー環境事業開発センター(御殿場市駒門)
木質バイオマスボイラー熱利用施設、リサイクルの取組
※今回は見学箇所が多かったこともあり、2回に分けて掲載します。

写真:リコー社設置木質バイオマスボイラー
燃料チップ用の木材
裾野市エリアでは、NPO法人地域活力創造センターが地域の森林整備を実施しており、その際に発生する木材のうち、製材に適さない小径材・曲がり材などは原木市場等へ出荷せず、中間土場でチップ化し、地元の熱利用施設等へ供給しています。同センターでは、森林所有者に代わって森林経営計画の作成を行っているので、計画的・安定的にチップ用の原木を確保しやすく、またチップの由来証明(間伐材等)を求めるFIT認定を受けた発電事業者のニーズにも適切に対応できているとのことでした。

写真:中間土場で説明を受ける様子
燃料チップ供給と製造実演
かつては、原木をチップ工場まで運搬してチップ製造するケースがほとんどしたが、近年は移動式チッパーが普及し、伐採現場やその近くの土場でチップ製造するケースも増えてきました。今回の裾野市内では、伐採現場近くに設けられた中間土場でチップ製造を行う現場を訪れ、チップ製造を実演していただきました。
チップの製造は、チップ供給先の水分のニーズに応じて、大まかに2種類に分けて行われています。標準的なチップは、土場に持ち込まれ1か月程度の原木をチップ化したもので、水分は高めです。これらは、近隣の熱電併給設備やリコー社に設置されたボイラー(オヤマダエンジニアリング社製)へ供給されます。 もう一つは、土場で原木のまま3~4か月程度乾燥させてからチップ化したもので、水分はやや下がっています。こちらは、秩父宮記念公園に設置されたボイラー用として供給されます。
※チップ製造実演にもご協力いただきました。その様子を撮影したので、本年度開設したWOODBIOのインスタグラムを見てください!

写真:チップ製造実演の様子
熱電併給設備とチップ乾燥
燃料チップの製造現場から車で2~3分程度の場所に裾野グリーンエナジー社が運営する熱電併給設備(リプロ社製。発電容量50kW・熱容量90kW×3台)が設置されています。この熱電併給設備で使用する燃料チップは十分に乾燥しておく必要があるため(水分は10%wb以下)、チップ土場から運びこまれた水分が高いチップは、一旦、熱電併給設備からの熱を利用して乾燥されます。これにより、故障の少ない安定した稼働が可能になります。メンテナンスを除き24時間稼働しており、燃料用チップは未利用材区分の由来証明があるので、FIT制度の同区分の価格で売電されています。

写真:熱電併給設備で説明を受ける様子
発電の際に多くの熱が発生するので、この施設では、熱電併給設備の燃料となるチップの乾燥だけではなく、近隣の熱利用ボイラーの燃料となる乾燥チップを生産するために熱が有効活用されています。乾燥チップの供給先は、今回の見学先のリコー社に設置されたHDG社製ボイラーのほか、箱根町のホテルに設置されたETA社ボイラーへ供給されています。これらのボイラーは、十分に乾燥させたチップを使用しないと不具合を起こすので、こうした乾燥チップを使用することで、安定した運用が可能になります。また、乾燥チップを運搬する際は、専用のコンテナを用いて、チップの運搬の効率化、ボイラー設置箇所でのチップ移し替えの手間を省力化している工夫もみられました。
乾燥チップの販売価格には熱を利用するコストも反映されています。乾燥チップは価格が高くなりますが、水分の高いチップを使用した際に生ずるボイラーの不具合がなくなるため、安定的に販売できているとのことでした。

写真:乾燥チップ運搬コンテナ
次回は、秩父宮記念公園と株式会社リコー環境事業開発センターにおける熱利用施設について報告します。
